人気ブログランキング | 話題のタグを見る

曲解


日本文化は海外で曲解されていることも多い。
サンフランシスコの日本庭園には何故か「鳥居」があり、しかもラーメンどんぶりの模様が付いてたりする。

アメリカ人に「最も有名な日本人は誰?」とアンケートを取ると、二位のオノ・ヨーコを大きく引き離し、ぶっちぎりで「ブルース・リー」
彼らにとって、日本はそれくらい未知の国なのだ。

アメリカ人に「オレはカラテのブラック・ベルトだ」と言うと、




「と言うことは・・・す、素手で弾丸を掴めるのか!!!!」




迂闊なことを言えば、「射殺」されかねない。




1999年にアメリカに赴任したオレは、まず道場を探しに行った。
思いのほか「KARATE」の看板を上げている道場は多い。
電話帳を見ると

「White Tiger Kenpo KARATE」

なる道場がある。
名前からして胡散臭いが、オレは面白半分でちょっと遠くまで足を伸ばしてみることに。
巨大な駐車場の片隅。ハンバーガーショップの横にその道場はあった。

中をのぞくと、痩せた怪しげな男が「だぉはあぁぁ~~~~っ!」怪しげな気合のもと、怪しげな構えを見せている。
その何もかもが間違いだらけだった。

まず、

星条旗柄の道衣を着ている

・段位を表す黒帯の金線が70本くらいある

・しかも帯が蝶々結び

・ヒゲがピエール





・・・この手合いはアメリカ人に多い。空手70段にしては随分弱そうだ。



学生時代、ヘルプで福岡支部の指導を行っていたときのこと。
県立体育館の武道場で稽古していると、隣の合気道の生徒のアメリカ人がカラテを習いたいと言い出した。
さすがに隣で合気道を習っている生徒である。最初丁重に断ろうとしたら、


「ヘイヘ~イ!私が習いたいと言い、月謝も払うと言っているのに、何故ダメなんだい?」
(アメリカン口調)


仕方なく入門の手続きを取ったら、コイツはイキナリ「黒帯」を締めて現れた。

我々の世界では「自らの死刑宣告を読み上げる」に等しい行為だ。







当然のように初日からメッタメタにやられたこの男。







翌週、隣の武道場で「柔道着」を着て前回り受身を取っていた。








・・・この手合が、アメリカに帰って


「私はカラテとアイキドーとジュードーを極めた」


などと宣って怪しげな道場を立ち上げる。
そりゃピエールにもなるというもの。

大体、練習中に怪我したら、道場相手に訴訟を起こすお国柄だ。
アマチュアでバチバチ殴りあう道場など、経営が成り立たない(プロは別)。

結果、怪しげな型や精神論だけ付け足したエアロビクスに成り下がる。

そういや、オレがアメリカにいるときは「TAE BO」なるカラテビクス?が大流行していた。
空手道場は軒並み“CARDIO KARATE”という看板を出していた。
最近、その「TAE BO!」と叫びながら踊っていたヘンなおっさん↓の顔をTVでよく観る。




曲解_f0071108_19484967.jpg

























こういうのも、アメリカ人の誤解を生む一因に違いない。










そう。
アメリカ人の子どもの曲解レベルも半端ではない。

オレが住んでいたアパートは若い夫婦が多く、故に、子どもも多かった。

子どもたちに向かって「I Have A Black Belt!」と言って、適当な構えを見せると、全員が賞賛と尊敬の眼差しでオレを見た。
話を聞いていると、どうも「ニンジャ」と混同しているようだ。




“水の上を歩けるの?”




「ああ、もちろんだ。オレは黒帯だからな」




“サムライ・ソードを持ってる?”




「ああ、もちろんだ。オレは黒帯だからな」




“Oh~!!!(尊敬の眼差し)”







余りに賞賛と尊敬の眼差しでオレを見るので、つい口が滑った。











「東京でピカチューとメシを食ったこともある」















“うおぉぉぉぉぉーーーーー!!!ポッキモーン!?!?”














ちょろいガキどもだ。














途中で何を書いてたか分からなくなったが、ビリーがあの「TAE BO」のおっさんだったなんて・・・。


オレは忙しい。
アメリカ人なら分かるが、日本人にも「ヤワラちゃんとどっちが強い?」とか聞かれ、その度に「違う競技です」と答える切なさを愁うヒマは、無い。
by hidetoshi_ota | 2007-07-10 23:22 | 格闘技
<< 夏休みの思い出 ・・・仕事?? >>