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アメリカよ その①

99年から2001年、オレはアメリカのシリコンバレーにいた。

インターネットベンチャーが群居する刺激的な土地だった。

入社6年目。
オレは英語はおろか標準語もままならぬまま、不安を抱えてSan Jose空港に降り立った。
迎えの駐在員は待てど暮らせど来ない。

到着から2時間後、上司となる駐在員が空港に現れたときは、大人なのに泣くかも・・・と本気で思った。
彼はイキナリ、「車借りてきな。車無いと車買いに行けないよ。」と宣う。

海外で運転するのは怖いので、出来れば電車通勤を・・・・・と思ったら、ここは車が無いと通勤はおろか、コインランドリーにも行けないらしい。
殆ど喋れない英語でレンタカーのカウンターへ。必死に、

「Compact Sedan」

と言ったのに出てきたのは巨大な


「Dodge」


先が思いやられる・・・・・。

気を取り直して、早速車を物色に。Stevens Creek沿いに沢山のディーラーがあった。が、ここでも

「4 Door Sedan」

と言ったのに出てきたのは


「RX-7」


セールスマンが何と言ってるのかはイマイチ分からなかったが、そのインチキ臭い風貌からどうやら、



「こ~んな素敵なスポーツカーがキミを待ってたぜ!!ベイベ~!!」



と言っているのは間違いなかった。

大体、シリコンバレーでネクタイを締めているのは車の営業と詐欺師だけだ。全く信用ならない。

結局スーパーの伝言版に貼ってあったFor Saleのチラシに電話し、持ち主が急死して家財道具を売り払おうとしている未亡人からFordのセダンを買った。
日本人のセンスではありえない、アホみたいな緑色の車だった。

早速車に乗ってメシを食いに行く。
最初だし、まずは日本でも食べなれたマクドナルドだ。

「Medium Diet Coke, Please.」

オレは確かにそう言った。
だが、スマイル0円とは程遠いメキシコ人のオバハンが出してきたのは、


「フライドポテト」


喉が渇いていた筈のオレは、恥辱に塗れながら塩辛いフレンチフライを口にした・・・・・。

アメリカ生活一日目。
この国で生きていけるのか・・・オレは本気で不安になった。


続く。
by hidetoshi_ota | 2006-02-22 02:01 | 仕事
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